株主インタビュー(1)Angel Bridge株式会社 林 正栄氏、八尾 凌介氏
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Angel Bridge株式会社(以下、Angel Bridge)は、2019年7月より、当社におけるリード投資家の役割を担うハンズオン支援型のベンチャーキャピタル(VC)です。シードからアーリーステージのスタートアップ企業を主な投資対象とし、資金投資後も投資先企業のニーズに応じた、組織・事業・ファイナンス・経営のPDCAサイクルの作りこみによって企業の成長を後押しします。
「優れた起業家/事業/技術への投資を通じてイノベーションを生み出し、人々の生活に革新的なインパクトを与えていく」を企業理念に掲げ、生産性の向上と産業の創出を行うことで、日本のGDP(国内総生産)に大きく貢献することを目指しています。
今回は、Angel Bridgeパートナーの林 正栄氏とディレクターの八尾 凌介氏に話しを伺いました。
Q1.どんな理念で投資を行い、何を基準に投資を決定するのか
事業分野における市場性と経営者の資質の両軸を併せ持つ企業
林氏(以下:敬称略):当社は、「日本からメガベーチャーを創出する」ことをミッションに掲げ、日本を大きく変えていける存在を生み出したいと思っています。才能と活力に満ちた起業家や、世の中を革新的に変えるテクノロジーに十分な資金を投下し、全世代が積極的に挑戦できる環境を提供したいと考えています。
投資を行う際、特に重視している点は二つです。一つは、事業分野における市場の大きさと、そこに対して適切な解決案を提供しているかです。二つ目は、経営者が情熱や志、粘り強さなどをもって組織を運営できるかどうかです。つまり経営者としての資質です。その両軸を併せ持つ企業が成功すると判断しています。
Q2.どんな経緯で出会ったのか
コンプライアンスチェックの課題を電子化によって解消を図る有望な人材
林:KYCコンサルティングの飛内尚正氏(代表取締役)とは、2019年に大手生命保険会社でコンサルタントを担う私の友人を通じて出会いました。友人自身が保険会社内の業務において、顧客の属性確認に携わる中、作業に膨大な時間と労力がかかることに課題を抱えていました。
課題の解消を図りたいと望む彼の視点から、「コンプライアンスチェックを電子化することで作業の省力化と迅速化に取り組む有望な人がいる」と紹介を受けました。
事前に、飛内氏が起業するとの情報は聞いていたので、初回の対面から出資を念頭において協議を進めました。
Q3.投資を決めた理由は何か
20年以上継続的に培った専門性と独自システムによる電子・自動化
林:健全な商取引においてKYC(Know Your Customer)が欠かせない時代となり、飛内氏が取り組んでいる事業は社会的にも需要が高いものです。すでに、金融機関などにおいては危機管理対策として重要な位置付けであり、内製化されています。
飛内氏は、KYCの領域において、企業の危機管理に対応する実務や未然防止のコンサルなど、20年以上継続して培われた豊富な知識と経験があります。その専門性に加え、コンプライアンスチェックの課題である手作業による手間や労力を電子・自動化できることに将来性を感じました。さらに使い勝手と(豊富で正確なデータを追求した)独自のシステム開発を視野に入れた取り組みも非常に魅力的でした。加えて、コンプライアンスチェックの認知向上や普及を社会課題と捉える視点に対して、大変共感しました。
今後、さらに電子化によって効率的な属性確認は広がり、利便性は向上していくと考えます。コンプライアンスチェックは個人情報の保護と併せて、健全な経済活動には欠くことのできない重要な危機管理です。KYCコンサルティングの事業は、健全な経済取引を効率的に提供し、満足を与える最適解であると考えます。
Q4.投資を決めるまでの過程でどんなやり取りがあったのか
対話を重ね確信した「経営者の人格」
林:最終的な投資決定には、半年ほど期間を要しました。事業構想に関して、提供する製品や製品をベースにした情報の取得方法など具体的に協議を重ね、個人情報の保護など法律に関する対応策についても確認しました。KYCの市場性に関しては、当社で独自に調査を実施した上で、顧客にとっての利便性や必要性を見極めて判断に至りました。
企業情報については、飛内氏と対面の機会を設け、ヒアリングを行いました。会合や食事会などを通して対話を重ねることで人柄を感じ取り、「経営者の人格」に確信を得た部分は大きかったです。
VCとしての立場から見て、このように社会的な意味を持つ事業に対する共感は大きいものです。「私たち以外の投資家の方にも応援に加わってもらい、共に応援する形態をとることで、成長ステージを上る環境を整えていこう」と飛内氏に伝えました。私たちは、投資先企業に関する情報の提供や組織の体制整備への協力として、人材の紹介も行っています。主体的なハンズオン支援を検討しながら、飛内氏をはじめKYCコンサルティングの皆様と協力し合って歩んできました。
Q5.これまでの成長をどのように評価しているのか
売り上げ実績 1年で約2倍のペースで成長
八尾氏(以下、敬称略):データーベースの拡充やプロダクトの提供方法など、試行錯誤の結果が今の実績につながっています。結果として、売り上げは1年で約2倍ずつのペースで伸びています。
事業内容に関しても、これまでコンサルティングなど、人を介した事業の比重が高かったのが、ITベンチャーとしてプロダクトを作り、そこからの収益の比率が9割以上という状況に高まりました。
単月黒字を実現することは、ITベンチャーにおいては、とてもハードルの高いことですが、そこまで歩みを進めているところが、本当にすばらしいと思います。
私たちは、KYCコンサルティング設立当初から、伴走し続けています。これまでの過去の経緯も含め、KYCコンサルティングの理念や事業を1番理解していると自負しています。株主も増える中、今後さらなるステージに向けて支援し続ける役割は大きいと感じます。引き続き、リード投資家としての役目を主体的に提供しながら、より良好で強固なつながりを構築していきたいと考えています。
Q6.将来、どんなことを期待するか
サービスの利便性を実感 満たされた利用企業により広く浸透し「KYCの社会インフラ化」を実現
林:KYCコンサルティングが取り組む危機管理の事業は、社会インフラ化すると見ています。事前に属性の確認を行うことは「安心して健全な経済取引ができる社会」の実現につながります。業種業界問わず幅広くニーズのあるサービスであり、社会が健全な方向に向かう最善の策だと評価しています。
KYCコンサルティングが開発した、迅速かつ正確なシステムツールを使用することで、危機管理対策の課題であった「手続きが面倒で手間がかかる」といった、これまでの認識は一変されるでしょう。その利便性を多くの企業に実感してほしいです。利用企業のKYCに関する課題を十分に解消するサービスであることを広く浸透させることで、社会インフラ化の実現につながると期待しています。
八尾:コンプライアンスに関する認識は高まり、企業においても危機管理の必要性が増しています。その一方で、企業側にはコストやさまざまな課題により、危機管理対策を実施できない現状があります。このギャップを、KYCコンサルティングが提供するサービスならば解消できると確信しています。KYCの分野において第一人者として、社会インフラ化する未来は、十分に実現可能であると期待しています。