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KYCコンサルティング創業までのストーリー

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 私どもKYCコンサルティングは、「日本に健全な経済取引を実現する」を第一のミッションとしています。コンプライアンスチェックを日常のものとすることにより、一人でも多く、一社でも多くの被害を未然に防ぎたいと考えています。

 スマートフォンで本人確認することが、一般的になってきました。一人一人の健全な商取引KYC(Know Your Customer)が、欠かせない時代です。KYCとは、一般社団法人日本情報経済社会推進協会の用語の定義によると、一般にユーザーの実在性の確認を行う「身元確認」と、ユーザーの行為を確認する「当人認証」の二つで構成される「本人確認」を意味する、としています。

 本コラムでは、私が創業するに至った理由や思いを、次の四つの点から述べます。

創業への想いを熱く語る飛内

1.なぜ、危機管理など現在の業界に関わるようになったのか

海上自衛隊で勤務

 私は、大学卒業後、海上自衛隊幹部自衛官として勤務していました。1990年代のことです。当時、自衛隊員が海外に行くことはなかったのです。日々、国を守るという大義名分で、訓練に明け暮れていました。自衛隊初の海外派遣は、ペルシャ湾掃海派遣部隊でした。それは平和維持のための任務ではありますが、何か向こう側にあるような、ちょっと遠いところにある気がしていました。

 そんな中、企業が起こす事件・事故のニュースで、働いている社員や、家族が困っている場面を目の当たりにして、私の思いは高まっていきました。発生してしまった被害をなるべく迅速に収めるとか、被害を未然に防止する、非常に直接的なこと、そういうところに携わりたい、との思いを強くしました。そんな仕事、つまり危機管理に関わる業界を目指すことにしたのです。

危機管理業界

 しかし、1990年代当時、危機管理対策や、反社会的勢力に対応をしている事業を行う企業は、ほとんどなかったのです。自分でそのようなことが実現できる企業を探しました。

 そして、企業の危機管理領域で、今ではリーディングカンパニーとなっている会社に転職し、20年くらい勤めました。最初は、危機対応の現場でした。企業不祥事、事件・事故対応、反社対応、マネー・ロンダリング対応、労務紛争の対応などの実務です。その後、ほとんどの業務を経験しました。その中で一番長く携わったのは、企業不祥事の未然防止コンサルティングです。企業の担当者、経営者と、直接関わってきました。企業が不祥事を起こした際に設置される、第三者委員会などでも対応してきました。

2.どんな経緯、どんな思いで起業したのか

日本の「KYC」対策に、世界と同じスピードを

 現代の危機管理は、フィンテック、ブロックチェーン、非対面の金融取引、本人確認など、オンライン上の対策が重要です。

 私が勤めていた会社は、日本の危機管理業界で歴史と権威のある企業です。しかし、KYC領域の調査部隊は、人の手作業で行う労働集約型でした。

 日本は、世界のフィンテック、AI(人工知能)などデジタル化による波から、マネー・ロンダリング対策ではKYC要素で取り残されています。人の手作業で行う労働集約型では、カバレッジ、スピードなどが追いつかないため、システム化・自動化しなければいけないと経営層に問題意識を提案していました。私は、時代の流れ、テクノロジーの速さに焦っていました。これに対応するには、今いる組織では難しいと思い、自分で起業しようと考えるようになりました。

 オンライン上の危機管理については、ブロックチェーン推進協会や、「WEB3.0」領域で先進的な取り組みをしている企業との出会いがあり、そこで、世界の情勢など情報交換を行っていました。最先端の技術を持っている企業と連携することで、実現可能だろうと確信が持てたことから、システム系の人間と2人で2018年に起業しました。

打ち合わせの際にはお互いの声をしっかり聞いています。

3.起業から現在に至るまでにどんな苦労があったのか

エンジニアに趣旨や思想を伝えることの大事さ

 そもそも私は、エンジニアではありません。コードを書くことはできません。エンジニアの意図をよく聞き、私の趣旨や思想を危機管理の観点から伝えました。自分自身の思想は、ブロックチェーン推進協会など専門家との情報の中で確立していきました。

 その実現には、システムを最初から構築し、データを集め、データベースも構築しなければならなかったのです。システムがバグったこともありますし、初期のころはデータ量が足りない、とお客さまにも怒られました。私財を処分したり、給料もなかったりと、経営者なら経験するような苦労はありました。

 その後、ベンチャーキャピタルから支援を受けながら、システムのバージョンアップ、データベースの拡充などを進めています。そして、暗号資産の業者と連携することで安定してきました。現在、当社は女性比率4〜5割、リモートワーク前提の採用などが特徴の一つです。名古屋や札幌からリモートで仕事をしているスタッフもいます。みんなに趣旨や思想を伝えることはとても重要です。

4.現在の事業において、どんな情熱やこだわりを持って取り組んでいるのか

変わらない想い、一人でも多く、一社でも多くの被害を未然に防ぎたい

 海上自衛隊、前職の危機管理会社の時から、今もこだわりは変わりません。わが社の理念である「一人でも多く、一社でも多くの被害の未然防止を行いたい」ということです。諸外国に追いつくためにもスピード感が重要です。世の中は変わっていきますが、一人でも多くの悲しい思いをする人をなくしたい、私の根っこは変わりません。現場でやり方が変わっただけなのです。KYCの社会インフラ化を、さまざまな連携によって、目指しています。誰でも気軽に、転ばぬ先の杖を使える、という社会の実現です。

「水と安全はタダ」ではない

 日本では、「水と安全はタダ」という風潮が長らくありましたよね。国際的な金融活動作業部会(FAFT)が2021年にまとめた評価結果で、日本は「重点フォローアップ国」とされ、改善の余地があると指摘されています。
 つまり、諸外国からすると、マネー・ロンダリング対策は、とても低いと評価されているのです。その危機管理、安全レベルを同等にして、日本に健全な経済社会を築くことよって、諸外国からの投資や進出が、より活性化していく。そして、日本を豊かにしていく一助になればいいと願っています。
 国策の一つとして、金融庁は、マネー・ロンダリング対策を強化しています。私たちもそれに賛同しながら、日本に健全な経済取引を実現するため、KYC、コンプライアンスに特化したリスクマネジメント事業を行っていきます。

一人一人に、正しい社会的な価値を

 私たちの会社は、情報総合商社、ハブのような立ち位置で在りたい、と考えています。例えば、一人の人には、いろいろな情報がありますよね。SNSで、プライベートのどんな情報を投稿しているとか、会社での活動、また、与信情報やネガティブ情報もあります。このように一人の人にひもづく情報は実に多面的です。それをつなぎ合わせることによって、一人の人の姿が浮かび上がってきます。

 そのような多面的な情報を、他社との連携によって正当に作り上げていきたいですね。そうすることで正しい社会的な受益を得てもらう、という世界観のもと、これからも事業に取り組んでいきます。