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反社とは何か?理解した上で見直すべく反社チェックツールと判断基準

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近年、コンプライアンスを遵守した会社経営を目指し、企業が反社会的勢力を排除するための反社チェックは欠かせなくなってきています。反社チェックを行う際には、反社会的勢力とは何か、反社会的勢力が関わる犯罪や事件の現状を理解した上で、取引リスクを判断する必要があります

反社会的勢力とは?反社会勢力の現状

反社会的勢力の代表的な組織に暴力団があります。暴力団とは、暴力団組織そのもの(類似、偽装などを含む)、その構成員、暴力団の威力に利益関係を持つ密接交際者、暴力によって目的の実現をしようとする組織またはその協力者、(準暴力団と呼ばれる半グレなどの組織)などを指します。認識される暴力団構成員の数は年々減少傾向にあり、令和2(2020)年末で約26,000人、前年と比較しても約9%減少しています。一方で、暴力団以外にも右翼団体、過激な思想を持つ宗教団体など、取引の際には注意が必要な団体もあり、取引の際のリスクの特定が非常に難しくなっています。

身近に潜む危険、反社会的勢力によるマネー・ロンダリング行為

暴力団が関わる犯罪行為の一つとして、マネー・ロンダリング行為があります。マネー・ロンダリング事件の総検挙数のうち暴力団の関与が該当するものは、令和2(2020)年の検挙件600件のうち約10%、7年前の平成25(2013)年では282件のうち約30%となっているようで、マネー・ロンダリングの総検挙数は年々増加していますが、暴力団等が関わる事件の比率は大きく減少傾向にありますが、マネー・ロンダリング行為に関わる暴力団の数は絶えません。

また、このマネー・ローンダリング行為は国際的な規模での活動に及び、平成 23 年(2011 年)7月にアメリカが公表した「国際組織犯罪対策戦略」と併せて制定した大統領令では、日本の暴力団を「重大な国際犯罪組織」の一つに指定しました。このことからも、日本の暴力団は国際的犯罪組織であるとも言えるでしょう。また、マネー・ローンダリングを行う主体は、暴力団だけでなく、特殊詐欺の犯行グループや来日外国人犯罪グループの台頭も指摘されています。

このような暴力団員ではない特殊詐欺犯行グループによる国際的な活動は、暴力団組織との関連性がすぐにはわかりにくいため、その事案は多様化しており、自身の身の回りにも想像できないようなリスクが潜んでいる可能性があります。組織と関係のない個人が目的のために一時的に組織化され、その目的が達成されると解散するようなケースもあり、組織を特定したにもかかわらずその時にはすでに実態がなく、真相が分からないことも多くあります。

反社会的勢力との取引リスクを回避するための対策

反社会的勢力の暴力団と、暴力団が関わる「金融犯罪」、マネー・ロンダリングについて説明しましたが、このような犯罪に気づかぬうちに巻き込まれる可能性が十分にあると言えるでしょう。また、反社会的勢力は非常に定義しにくいものとなってきており、特殊詐欺犯行グループなどは組織に関与していることさえもわからないまま犯罪行為に加担している場合もあります。

反社会的勢力を自社のステークホルダーにできる限り関与させないためには、自社にとってどのような人や組織がそれに該当するか、または該当しそうか、どのような取引にリスクがあり、どう予防するかを確認しておくことが必要です。例えば、ある人物の「暴力団員であり、10年前に傷害事件で実刑判決」という情報と、「運送業を営む真面目な人物、取引先からの信用も厚い」という2つの情報が同一人物のものとして存在する場合があります。どちらも事実とした場合、その人物とどのような取引を行うか、そこにどんなリスクがありそうか、評価し、判断することが必要になりますし、判断する主体によって結果は違います。その際の指針として自社の判断基準やチェックマニュアルなどがあると良いのではないでしょうか。

反社チェックツールや判断基準の定期的な見直しの必要性

反社チェックにおいて、上記のような事例は特殊だったとしても、すべての事例について個別に具体的に判断していたのでは、ビジネスとしてはコストが掛かりすぎます。弊社にご依頼いただくお客様からの「誰でも同じ判断ができるようにしたい」、「取引リスクを見える化しておきたい」というご要望も多くなってきていることから、反社チェック時における過去の事業内容に基づくキーワードの設定や、他社の基準に依拠した判断根拠など自社に見合うように取引基準や管理を常にアップデートしていく必要があると言えます。

様々な反社チェックツールがある昨今、どんなに素晴らしいツールがあっても、ツールや情報を利用する側が適切に使いこなせないとリスクを低減することはできません。コンプライアンス管理体制という観点からも、反社チェックツールとともに判断基準のアップデートも合わせてご検討されてはいかがでしょうか。

弊社では、規程・マニュアルの作成支援や、リスクの特定・評価、ツールを活用したデータベース連携など各種サービスコンサルティングをご提供しておりますので、お気軽にご相談ください。

参考文献:

公益財団法人千葉県暴力団追放県民会議. “全国の指定暴力団

国家公安委員会. “犯罪収益移転危険度調査書“. 警察庁. 平成27年9月

国家公安委員会. “犯罪収益移転危険度調査書“. 警察庁. 令和3年12月