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健全な経済取引を実現するために#3

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日本におけるリスクの実態を分類する

 KYCコンサルティングは、リスクのデータベースとなる独自開発の「RiskAnalyze」(リスクアナライズ) と「Solomon」(ソロモン)を活用して、効率的な検索サービスを提供しています。リスクの実態を7項目に分類して定義しています。本コラムでは、分類したリスク7項目について解説します。

暴力団とは

 暴力団対策法(暴対法)第2条第2号による定義に加え、経験上で得た独自の視点を追加して、リスクデータに関する定義を示しています。

・右翼団体、政治結社およびその構成員
理由:暴力団が暴対法を逃れるための隠れ蓑として、右翼運動などの政治活動を装い、企業などに圧力を加え、不正に利益を得ようとする場合があるため。

・総会屋
理由:総会屋が得た不正な利益が暴力団に渡るなど、暴力団とのつながりが深いため。

密接交際者とは

・暴力団との関係を、これみよがしに表し、不当に利益を得ようとする者
該当する例としては、暴力団または、暴力団関係者が実質的に経営を支配する法人に所属している者、暴力団員を雇用している者、暴力団関係者を不当に利用していると認められる者、暴力団の維持・運営に協力または関与していると認められる者、暴力団または、暴力団員と社会的に非難されるべき関係を有していると認められる者を含みます。

過激派とは

 暴力的な行為や人をだますような欺瞞によって、自らの主義や理想を実現しようとする極左暴力集団、およびそれらに所属する個人としています。無差別大量殺人行為を行った団体として規制されている団体および個人も含みます。

準暴力団とは

 近年、暴走族OBなど「半グレ」と呼ばれる集団による暴力的な行為が常習的に多くなっています。警視庁が「準暴力団」と定義する者も、暴力団に準ずる集団としています。

フロント企業とは

・暴力団が設立し、経営に関与している企業
・暴力団と親交のある者が経営し、暴力団に資金を提供するなどして組織の維持・運営に積極的に協力または関与する企業

特殊犯罪とは

 特殊犯罪とは、暴力的な手段を用いるかどうかにこだわらず、組織化された集団、集団内の個人、あるいは個人が違法な手段などにより、不正な利益を得る目的で犯した行為としています。例えば、次のようなケースです。

・組織的な犯罪の処罰および犯罪収益の規制などに関する法律違反で刑事手続きの対象となった者
・犯罪による収益の移転防止に関する法律違反で刑事手続きの対象となった者
・地面師
・外国為替および外国貿易法により輸出をすることを禁止された製品などを輸出した者、あるいはしようとした者
・金融商品取引法違反で刑事手続きの対象となった、または行政処分を受けた団体および個人
・出資の受入れ、預り金および金利などの取締りに関する法律違反で刑事手続きの対象となった、または行政処分を受けた団体および個人
・貸金業法で刑事手続きの対象となった、または行政処分を受けた団体および個人
・利息制限法で刑事手続きの対象となった、または行政処分を受けた団体および個人
・会社法違反で刑事手続きの対象となった、または行政処分を受けた団体および個人
・贈収賄で刑事手続きの対象となった、または行政処分を受けた団体および個人
・脱税で刑事手続きの対象となった、または行政処分を受けた団体および個人
・その他社会的に影響が大きい経済事件を起こした団体および個人

一般とは

 日本国内において、逮捕行為、起訴行為など、いわゆる刑事手続の対象となった、または行政処分を受けた場合としています。

 最近、注目されているリスクには、子どもと接する職場で働く人に、性犯罪歴がないことを確認する新制度「日本版DBS」があります。「DBS(Disclosure and Barring Service ディズクロージャー・アンド・バーリングサービス)」とは、前歴開示・前歴者就業制限機構の略で、子どもを性被害から守るための仕組みです。イギリスでは、個人の犯罪履歴などをデータベースで管理しています。該当する職業に就く際に「無犯罪証明書」を発行しています。雇用側は、採用時に、この証明書を確認することが義務付けられています。日本は、このイギリスをモデルにして、2023年12月現在、来年度に制度の設立に向けた法整備が進められています。

 KYCコンサルティングは、リスクを明確に分類することで、日本における企業の経済取引をより安全に行えることを目指しています。